GUIDELINE 旅客販売総合システム「MARS(マルス)」

みどりの窓口でおなじみのチケット予約・販売システム

1960年に誕生した日本最大規模のオンラインシステム

MARSが産声をあげたのは1960年、日々急増する旅客に対応すべく、それまで係員がすべて手作業で行っていたチケットの予約販売業務を自動化し、旅客の利便性を向上させるため、MARS1が誕生しました。

以来、MARSは日本最大規模のオンライン・リアルタイム・システムとして、半世紀にわたり進化を続けてまいりました。

広く社会に浸透するMARS稼働率99.999%という高度安定稼働

そして現在、MARSの予約から発券までのリードタイムはわずか数秒。
さらに、全国のみどりの窓口の端末や旅行会社の端末(約9,800台)からだけでなく、インターネットを通じて直接予約※1もできるなど、時間や場所を越え、そのフィールドはますます多様化、高度化しています。

これらのあらゆる旅客のニーズに、柔軟に、より速く、かつ確実に応えるとともに、稼働率99.999%という高度安定稼働を実現しています。

※1:当社のインターネットプロバイダーサービス「CYBER STATION」利用による

広く社会に浸透するMARS

MARSの歴史と変遷:MARSは半世紀にわたって進化し続けてきました。

誕生以来、半世紀を迎えたMARS。
MARSはオンライン・リアルタイム・システムの代名詞となり、わが国のシステム開発史を牽引してきました。

1960 MARS 1 従来の電話と台帳の手作業による予約販売業務をコンピュータ化するための試作機を開発。東海道本線特急こだま号4 箇列車、2,320 座席の発売を開始した。
1964 MARS 101 プログラムを内蔵した本格的な実用機である第1 号機が誕生。
予約だけでなくシステムによる自動発券が可能になったのも、この101から。
1965 MARS 102 ダイヤ改正による優等列車の増発等や「みどりの窓口」開設に合わせ、101 の機能を統合した新システムを投入。前年に開通した新幹線も、同システムを利用しはじめた。
1968 MARS 103 中央処理装置を初めて専用機から汎用機に転換。システム規模の拡大、中央処理装置の運用方法に改良が加えられた。なお当時は、101、102も並用。
これまで電話・電報で受付処理していた「グループ旅行」や「団体旅行」の予約増加に伴い改編。大人数・長期間の旅程を管理し、キャンセルや変更にも柔軟に対応できる態勢に。端末装置は汎用タイプライター型で、当初全国に80 台を設置、旅客へのサービス向上に寄与した。
1972 MARS 105 新幹線の博多延長、および東北・上越新幹線の開業を控え、当座70 万座席、将来140万座席の収容を目的に開発。大きな特長として、予約期間の延伸(最大2 か月)、乗車券の同時発売、代案提示等、旅客サービス機能の強化、窓口ごとの売上集計機能等、業務省力化面へも大きく貢献。さらに1975 年には、電話予約に対応する150、および団体・企画商品に対応する202を導入した。
1985 MARS 301 105、150、202 の老朽化に伴う刷新と、多種多様な営業施策への柔軟な対応を目的として開発。システムはCCS(通信制御サブシステム)、SRS(在庫管理サブシステム)、DMS(データ管理サブシステム)から構成され、指定券・普通乗車券・定期券から、回数券・Qきっぷ・ワイド周遊券等の特殊乗車券や団体・企画商品等までをトータルに扱う「旅客販売総合システム」へ。
1993 MARS 305 JR旅客会社各社の営業施策へのより柔軟な対応と、増加するトラフィックへの充分な処理性能を確保するために開発。ハードウェアは最新鋭の超大型汎用コンピュータ2 台に、それぞれCCS、SRS、DMS のサブシステムを格納。また、きめ細かなシステムの監視、異常時のシステム切替えが可能になるよう統合運転を実現し、全サブシステムのホットスタンバイを可能とした。
2004 MARS 501 多様化を極める新時代の旅客ニーズ、さらには情報通信ニーズを視野に入れ、既存システムの大幅な見直しを敢行。またJR各社のICカード乗車券/ 定期券への対応、“自販機型” のMV 端末などの普及により、MARS 501の稼働フィールドは今日も飛躍的に広がった。
2013年には震度7の横揺れにも耐えうる免震構造と、日本データセンター協会の格付けによる最高度信頼性(ティア4レベル)を確保したセキュリティ設備を備えたシステムセンターにMARS501を移転。大規模地震等の発生時においてもMARSのシステムサービスを継続的に提供できるようになり、安全性・信頼性を一層強固なものとした。
2020 MARS 505 システム稼働率99.999%を維持しながら、毎年実施されるダイヤ改正対応、新線・新駅開業等の制度改正対応をはじめ、JR各社のインターネット販売、チケットレス乗車等の施策に対応するための機能増強を行っている。更には、インバウンド需要拡大への対応および、JR各社の駅業務効率化を実現するため、MV端末から遠隔地にいるオペレータと接続し窓口サービスを可能としたアシストマルス端末機能や、ビッグデータ(過去の販売実績)を活用し、JRの指定席販売計画を支える情報提供機能等を充実させている。
目まぐるしく変化・多様化するIT環境や利用者ニーズに対し、より細やかに、より迅速に対応できるよう、MARSは増々進化を続けている。

利用形態:JRのみどりの窓口から、家庭から──。広がるMARSの利用形態

JRのみどりの窓口や、大手旅行会社から・・・

MARSは、JRの「みどりの窓口」の端末の他、大手旅行会社等のホストコンピュータとオンラインでつながり、 JRの列車予約のみならず、レンタカー券・イベント券など多種多様な商品を販売しています。

駅の券売機コーナーから・・・・

旅客自らがオン・デマンドにMARSへアクセスすることもできます。そのひとつが顧客操作型端末(MV端末)による購入方法。
駅の券売機コーナーに設置されたMV端末をお客さまが自ら操作することにより、窓口で並ぶことなくチケットを購入することが可能です。

家庭やオフィスのパソコンから・・・

電話から指定席の予約やパソコンから空席照会が可能です。
また、当社が提供するインターネット通信サービス「CYBER STATION」を利用すれば、家庭やオフィスのパソコンから、居ながらにして空席照会・座席予約を行うことができます。

取扱商品:旅関連の多彩な商品を販売

取扱商品は多彩に拡がります。
JR 各社のICカード定期券を発行することもできます。

JRのみどりの窓口や、大手旅行会社から・・・

  • 普通乗車券/片道・往復・連続
  • 定期券/通勤・通学・グリーン・新幹線・JR各社IC定期券 (Suica、ICOCA、TOICA、Kitaca、SUGOCA)
  • 団体券/団体乗車券等
  • 特急券・急行券/指定席特急券・立席特急券・自由席特急券・特定特急券・普通急行券
  • グリーン券/指定席グリーン券・自由席グリーン券
  • 寝台券/ A 寝台券・B 寝台券・個室券
  • 座席指定券/急行列車・快速列車・JRバス
  • 入場券/普通入場券・定期入場券
  • トクトクきっぷ/フリーきっぷ・各種回数券・往復割引きっぷ
  • 主催旅行商品(JRと乗船券等をセットした旅行商品)
  • 駅レンタカー券
  • その他/各種催し物・博物館等の入場券・定期観光バス券等

システム規模

全国9,800台の端末に対応
1日平均発券枚数 190万枚以上
ピーク時毎秒 250コール、平均6秒で発券

MARS(マルス)の取扱量は年々増加しています。1日平均の発券枚数は190万枚以上。コール数や端末台数も増加の一途をたどり、約6,500台の駅端末・みどりの窓口端末、および約3,300台の旅行会社端末等が接続されています。

MARS 505 は、これら9,800 台を超える端末からの一斉要求にも応えられる性能を持っており、旅行シーズンなどのピーク時にも毎秒250コール、平均6 秒での応答(発券╱枚)が可能です。また、今後ともますます多様化・高度化する旅行商品ニーズにも対応可能な、拡張性と柔軟性を備えています。